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2011年6月

2011年6月28日 (火)

手に負えなくなった福島原発と菅総理

 福島原発の事故処理が遅々として進まない。昨日も汚染水を浄化し、原子炉を冷やすため、炉心に注入する「循環注水冷却」が開始直後に停止した。ホースを接続する金具を締める「加締め」と呼ばれる部分が外れたことが原因だという。まったく何をしているのかと素人目にも腹立たしい。日本中の、いや世界の叡智を結集している筈なのに、なかなか前に進まない。その間にも放射能の汚染は拡大している。福島原発は、終息不能に立ち至っているのではないか。

 一方政局の方も、菅総理が誰も止められない暴走状態になっている。6月2日の不信任決議騒動を「ペテン」で切り抜けた菅総理は以後、意気軒昂のようである。「自分の顔を見たくなかったら早く法案を通せばよい。」と、宣うに至っては、国会を見下し、天をも恐れぬ所業である。騙してでも、政権の延命ができたことがよほど嬉しいのだろう。

 「一定の目途」と言うのが小学校の子供達の間で流行っているという。経団連の会長は子供達の教育に悪いと言ったが、子供の世界だけの話ではない。「人を騙してはいけない、騙すくらいなら、騙されろ」というのが昔からの日本人の良識であった筈だ。騙してでも勝てばよいという、どこかの国のような風潮が国会から日本国内に蔓延することを怖れる。国家観のない、国民のことより、自分さえ良ければいいという一人の総理が誕生したばっかりに日本の情景がすっかり変ってしまったような気がする。

 参議院自民党の浜田議員が復興担当政務官に就任するという。与謝野大臣の大臣就任にも驚いたが、よくは知らないが浜田議員は昨年当選したばかりの学者先生のようだ。政治も知らず、行政も知らず、地元も知らない政務官にどれほどの仕事ができるのだろうか。引き抜く方もひどい事をするものだが、受ける方の良識も疑う。

 江田法務大臣に環境大臣を兼務させたのにも驚いた。再生エネルギーのシェアを20%にと環境には並々ならぬ関心を抱いてきた菅総理ではなかったのか。CO225%削減などどこかへ吹き飛んでしまった。細野原子力担当大臣が誕生したが、経済産業省の組織図から見ても、海江田経産大臣との職務分担を考えても大変なことだろう。

 二次補正や特例公債法案、再生エネルギー特別措置法案を仕上げれば一定の目途が立つという菅総理だが、子供手当等の4Kバラマキの処理をどうするのだろうか。特例公債法案を通すために4Kを修正して自民党を立てれば、小沢一派が承知すまい。浜田引き抜きで自民党の態度が一層硬化した。70日間の延長期間もあっという間に過ぎるだろう。ゴタゴタしたままで法案も通らず、会期末を迎えることまで見通しているとすれば大した策略家だ。そして、原発か脱原発かというシングルイッシューで小泉さんのように解散総選挙に打って出ることまで考えて布石を打っているのか。

 いずれにしても8月末には退陣せざるを得ないとすれば、一か八かの究極の延命策を考えない筈はない。35年前の三木おろしを思い出す。あの時も自民党の実力者達が力を合わせても結局三木総理を辞めさせることはできなかった。それほど総理大臣の地位は堅固だ。いまや福島原発も菅総理も収拾不能な状況に入っているようだ。

 南九州は去年よりも22日早く梅雨が明けた。電力不足の暑い、そして不快な長い夏になるのだろうか。地方の景気の落ち込みは深刻だ。冷房もない避難所暮らしの続く被災者の健康状態も心配だ。

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2011年6月15日 (水)

小丸川揚水発電所を見学して

 先週、武者小路実篤の「新しき村」で有名な宮崎県の木城町にある九州電力小丸川揚水発電所を見学してきました。福島原発事故で、電力に関する関心が高まっている折でもあり、チャーターしたバス1台は満席でした。

 この揚水発電所は平成4年から土質調査や環境影響調査を行って、平成11年から建設に着手、約2700億円の巨額を投じて建設されたものです。1号機から3号機はすでに稼動しており、最後の4号機がこの7月に発電を開始することになっています。4機合わせて最大出力120万キロワット、原発のほぼ1基分に相当するそうで、九州では最大の揚水発電所になります。

 因みに、私が小学生の頃は宮崎県は電力の移出県でした。当時は水力発電が主体でしたが、その後の日本の経済発展に伴ない九州でも火力発電所が増設され、玄海と川内の原子力発電所も建設されました。水力発電だけの宮崎県は約6割を県外からの送電に頼っています。

 宮崎県全体の電力需要量は140万キロワットですので、この揚水発電所はその8割に相当する規模です。揚水発電所は電力料金の安い夜間に下部ダムから上流ダムに揚水し、電力需要の多い昼間に発電する仕組みになっています。原発のように常時発電し続けるものではなく、電力の需給関係を見ながら補充的に必要な時に水を放流して発電します。指令がきて、5,6分で出力できる即応力があるという説明でした。

 私はかって国内唯一の沖縄の本部半島にあるJP(ジェィ・パワー)の海水揚水発電所を視察したことがありました。どちらも山の上に貯水ダムを作り、山をくり抜いて地中に発電装置が備え付けてあります。小丸川揚水発電所は7月に完成すると、九電の職員は一人も常住せず、全て福岡の本社ビルで操作するのだそうです。まさに再生可能なエネルギーの典型です。

 福島原発事故を契機に国際的にも原発政策の見直しが始まっています。ドイツは原発の全廃を決めました。イタリアも、一昨日行われた国民投票で、原発の再開はしない方が圧倒的多数でした。

 日本国内の原発は全部で54基ありますが、点検で停止中の原発も多く現在は3分の1の17基しか稼動しておりません。再開を待っている原発も地元住民の了解が得にくい状況になっています。今、日本の原発の総電力に占めるシェアーは約30%で、世界でも3番目の高さです。

 鳩山前総理は就任早々、国連で日本はCO2の発生を25%削減すると演説し国際公約になっています。しかし、そのためには原発のシェアーを50%に高めることが前提でしたが、菅総理の浜岡原発停止発言により、この公約は吹っ飛んでしまったようです。今や地球温暖化の議論は遠い世界の話になっています。

 私は平成8年当時、自民党の商工部会長を勤めていましたが、京都で開かれたCOP3で、日本はCO2を6%削減すべしとする案を議長国だから呑めということに1人反対し続けたことを思い出します。そもそもCO2が地球温暖化の原因ではないという学説もありますが、それより、日本は既にCO2削減を世界に先駆けて努力しており、まさに「絞り切った雑巾を更に絞れというのか」というのが率直な気持でした。又、このCO2削減交渉の裏に、排出権取引という国際的な金儲けの策略を感じ取り、又日本は損をすると思ったからでした。今回の原発事故により、地球温暖化とCO2の関係がもう一度冷静に研究されることを期待しています。

 原発は、地震多発国日本では建設しないに越したことはありません。しかし、石炭・石油という天然資源がまったく乏しい日本です。それに替わるエネルギー源をどこに求めるかが最大の課題です。私は文部科学大臣の時、「地上に小さな太陽を作る」という核融合エネルギーの実現を目指す「イーター(ITER)計画」を1歩前に進め、仏のカダラッシュに研究開発本部を置き、日本の六ケ所村に副本部を置くことを決めました。しかし、この「イーター計画」もうまくいっても、実用化には50年かかるという事でした。

 太陽光発電、風力発電、地熱発電等々さまざまな再生可能な手段による電力供給が論じられていますが、いずれも現時点では供給量とコストに超えられない限界があります。ヨーロッパ大陸のように電力を輸入するわけにもいかない日本です。このまま推移して企業も家庭も節電に努めることになるのでしょうか。私が心配するのは、家庭では節電に協力しても、恒常的な電力不足を懸念して企業の海外移転が進むと、日本経済が縮小し、働く場が少なくなってくることです。そうでなくとも、長引くデフレの中で円高が続き、日本企業の国際競争力が低下して、興隆する新興国に追いつかれつつある昨今です。経済の原動力であるエネルギー、なかんづく電力の安定供給をいかに図っていくか、国民全体で考えるべき課題になっています。
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2011年6月 4日 (土)

ペテン師・ペテン党

 菅内閣に対する不信任案を巡るここ数日間のドタバタ劇は、日本政治の情けない姿を国の内外に示すところとなった。不信任案可決の可能性が高まったことに対して、菅総理を取り巻く側近たちが震え上がり、可決されたら菅総理が解散総選挙に打って出るという、できもしない謀略宣伝に怯えた民主党議員が繰り広げた茶番劇でした。

 相変わらずのピエロ役を演じたのが鳩山前総理、まんまと騙され利用された。そこまで読んだ菅総理の側近たちの狡賢さには脱帽するしかない。そして、国民不在の中で菅と鳩山がうまく役割分担して、民主党を割らず、自民党にも政権を渡さないという党利党略を見事成功させることとなった。

 「トラスト・ミー」と言ってオバマ大統領を騙した鳩山前総理が菅首相をペテン師だと罵っているのは、よく言うよという感じだが、人の良い鳩山氏にしてみれば、騙されたことに対する恥ずかしさも相まって口撃がエスカレートしているのであろう。それにしても前総理が現総理をペテン師呼ばわりとは、日本の政治家も地に落ちたものだ。

 実際、代議士会で鳩山氏が復興基本法の成立と第二次補正予算の編成に目途をつけた時点で辞任してもらうと発言し、菅首相がそれに対して何らの反論もしなかったのだから、私もその場におれば近々辞任すると信じたかも知れない。

 しかし、東日本大震災の復旧復興が遅れ、福島原発事故の初期対応に大きなミスを犯し、被災者に身体的、心理的に取り返しのつかない被害を与え続けている菅内閣に、復旧は任せられないとして提出された不信任案である。これに対して、一定の目途がつくまで続投させるというのは全くつじつまの合わないことであり、辞任予告をいいことに矛を収めるというのはまさに矛盾である。

 菅総理はしてやったりと思っているかも知れないが、事はそんなにうまくは運ばないだろう。今後、民主党内において反発が強まり菅降ろしが激しくなるであろう。野党側も詐欺師まがいの菅総理とレイム・ダック化した菅内閣を相手に国会審議を行うことには拒否感が強まろう。

 それにしても、2,3日の両日に行われたという共同通信の世論調査の結果がいち早く報道された。驚くべきことに、内閣支持率は前回よりも、5.3パーセント上がり、政党支持率も民主が自民を逆転している。いつも言う事だが、世論調査は質問の仕方によって答えは大きく変り、世論操作にも使われる。特に今回は、菅総理が居直りを言う前の調査も入っており、騙したという事が分かってからは反発もかなり出ていると思う。

 しかし、2,3日前からの新聞、テレビの菅内閣擁護は度を過ぎていた。「なぜこのときに」「急流で馬を乗り替えるな」という論調が満ち溢れていた。急流をうまく乗り越えられないから、馬を替えようというのに、馬もろともに急流に流されても良いというのか。馬菅でうまく乗り越えられると本当に思っているのだろうか。私は前から言っているように、心と責任感のない菅総理の下では、国民が気持ちを一つにして対処しなければならないこの国難は乗り切れないと見ている。

 今後、民主党内からも菅降ろしが激化すると思うが、小沢裁判が秋口にも始まるといわれていることから、小沢サイドにもあまり時間は残されていない。野党が菅内閣に対する攻撃を強め、参議院で問責決議案を出せば、野党のみならず、与党の一部からも賛成者が出ることになるかもしれない。西岡参議院議長は独特の信念の人であり、問責決議案が可決されれば参議院本会議のベルは押さないだろう。

 鳩山氏は菅総理をペテン師と呼んだが、有権者の目から見れば民主党はペテン党だ。できもしない公約を並べたマニフェストで有権者をペテンにかけて衆議院に勝利した。さらに、5兆6千億円もの子供手当ては国家的規模の選挙買収ではないか。個々の選挙では千円の供応でも選挙違反に問われるご時世だ。

 又、そもそも前原前外務大臣は外国人からの献金で職を辞したのに、同じく明らかに外国人からの献金を受けていた菅総理に何のお咎めもないというのはなんとしてもおかしい。野党はもっと追及すべきだ。

 マスコミは何とかして、民主党政権を続けさせたい意向が見え見えだ。「自民党はもうだめだから、一回民主党にやらせてみてはどうか、ダメならすぐ代えればいい」と国民を煽ったのが当時のマスコミであったが、一旦権力の座に着けばなかなか政権は手放さないし、国民の側からはなかなか代えられないという事が国民にも分かったはずだ。

 「民主党に政権を渡してはならない、それは日本を滅ぼすことになる」と、それこそなりふり構わず行動に出た私でした。自分の予想が当たってうれしい筈もないが、ただただ、とり残された被災者の心情に思いを致し、日本民族の将来に深い憂慮の念が増すだけである。

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